事業主が青色申告をするときの大きなメリットの1つに、
青色事業専従者給与というものがあります。
事業専従者とは、奥さんや両親など、自分と生計を一緒にする家族で、
事業の戦力となって手伝ってくれる人のことです。
なにも妻や家族に給料を払えるのは、
会社や青色申告を選んだ人だけの特権ではありません。
その「内助の功」の対価として、白色申告の個人事業主やフリーランスの人には、
専従者控除といって、妻であれば年間86万円まで、他の親族ならば年間50万円までは、
給料として事業の経費にすることができるのです。
86万円の支出が認められるということは、だいたい10万円以上の節税になります。
そして、青色申告が認められれば、青色事業専従者となり、
事業専従者とする人の資格、これまでの職歴等にも配慮する必要がありますが、
その給与が他の従業員給与や事業の収益などと比べて著しく高額でないなどの
要件を満たしていれば、全額が事業主の必要経費として認められます。
具体的な給与は、他の従業員との比較が必要になります。
これは、「家族でなく他人だったとしても同じ給与を支払うかどうか」が基準となります。
つまり、家族が他の従業員の2倍も3倍も給与をもらっているとしたら、
それは認められない可能性が高いといえます。
また、家族を会社で勤務させて給与を支払うと、
税務調査で争点となりやすいのが「勤務実態」です。
つまり、「本当に、その給与に見合うだけ働いているのですか?」と疑われるのです。
そこで、会社に出勤しているのであれば、タイムカードを押すことや、
自宅で仕事をしている場合には、具体的に何をしたのか日報を書く程度のことは必要になるでしょう。
また、仕事のやり取りをメールで残せば、いちいち別に仕事内容を記録する必要もなくなります。
専従者控除を受けるには、専従者として働いているという建前が必要になりますので、
他の仕事をしていたり、学校に通ったりして、1年間のうち6ヶ月以上従事できない場合は、
対象とはなりません。
最後に、注意が必要なのが、青色専従者給与を支払う場合には、
その人の配偶者特別控除や扶養控除は使えなくなるという点です。