確定申告の方法には、
白色申告と青色申告の2種類があります。
白色申告は通常の申告方法で、
用紙が白色をしていることから、こう呼ばれています。
それに対して、青色申告は、申告書の用紙が薄い青色をしていたことから、
こう呼ばれていますが、2つの違いは色だけではありません。
青色申告は、正しい記帳を推進するための制度であり、
帳簿への記帳と、帳簿や証票類の保存義務などを事業者に課す代わりに、
様々な税制上のメリットが受けられるよう配慮されています。
とはいえ、白色か、青色か、簡単に誰でも選べるというわけではありません。
確定申告前に商売を始めて個人事業主になると、税務署に届出が必要になります。
青色申告を選択するには、「青色申告の承認申請手続」をする必要があります。
青色申告するときは開業してから2ヶ月以内。
それを過ぎると翌年の3月15日までに提出すれば、その年の分から青色申告できます。
青色申告の主なメリット
①青色申告特別控除
記帳などのレベルに応じて、最高65万円を所得から控除できます。
②損失の繰越控除
事業で損失が生じた場合、
その損失を9年間にわたって所得から控除することができます。
③青色事業専従者給与
妻や子供に給与を払うときは、青色申告の申請と同時にします。
事業主とサイフを一緒にする家族などに支払う給与を必要経費として全額控除できるようになります。
④推測で課税されない
税務調査によって、間違いを指摘された場合であっても、
税務署側が勝手に税額を決めてはならないことになっています。
青色申告で申告を行なっていれば、根拠の無い推測で課税処分を受けることはないということです。
青色申告と聞くと、複式簿記の知識がないからと、躊躇してしまう人もいますが、
事業を始めるからには、正しく損益の状況を把握することができなければ、
儲かっているか、損をしているかの判断ができません。
また、白色申告でも所得金額が300万円を超える人は記帳義務が生じるため、
同じ記帳をするのであれば、特典の多い青色申告のほうが絶対にお得です。
なお、青色申告は、正確な記帳をもとに確定申告しているので、
簡易な記録で確定申告をしている白色申告に比べて、
税務署や、融資を受ける際の金融機関などに対して信頼性があるといえます。
したがって、どのような形にしろ、いずれ記帳は必要になると考えておいてください。
青色申告の特典一覧
① | 家族に支払った給与が必要経費に計上できる | 妻や子供が一緒に働いているとき、 世間並みの程度までの給料は必要経費で落とせる |
② | 青色申告特別控除が認められる | 帳簿書類を揃え、貸借対照表や 損益計算書を添付した場合は35万円、 それ以外の申告書には10万円の特別控除 |
③ | 各種の引当金が計上できる | 取引先の倒産などによる貸し倒れを予測しての 貸倒引当金、販売した製品の返品による 損失をあらかじめ予測した返品調整引当金 などが認められる |
④ | 特別償却が認められる | 機会や装置が通常の使用時間を超えて 使用されるときに、増加償却などの特別償却が 認められている |
⑤ | 損失の繰越 控除や繰り戻し還付が受けられる |
事業所得が赤字の場合、 その赤字額を翌年以降9年間にわたって 各年分の所得と相殺することができる(損失の繰越控除) また、その年の赤字を繰り戻して前年の所得から差し引き、 前年の所得税額を計算し直して還付を受けられる (損失の繰り戻し) |